アート作品を「所有したい」と最初に思ったのは、いつ頃ですか?
初めて人の作品を買ったのは22歳のときです。当時グループ展を一緒にさせていただいたTACOさんの小さなドローイング。大きさが小さくても良い作品には圧があるなと思いました。
アート作品を購入することに至った決め手はありますか?
「欲しい」という気持ちと自分が出せる金額が合ったときです。
と言いつつ初めの一歩は重たくて、どれを買うか、ほんとに買うのか、とても迷いました。一点ものを所有する喜びをそこで知ってからは作品を買うことへのハードルがぐんと下がりました。
所有しているアート作品はどのように楽しんでいますか?
だいたいの作品は見えるところに飾っています。わたしは賃貸マンションに住んでいますが、押しピンの穴くらいはOKと聞き、壁にかけたり、ペラペラのままで貼ったり、本棚の隙間に入れたり、ラフな感じです。
オンライン上で展示や作品を見ることと、実際に生で見ることの違いはありますか?
わたしは展覧会を見るとき、作品本体と展示空間への意識が半々くらいかもしれません。作品配置や空間の使い方に興味があるので、実際に生で見ることで、ギャラリーそれぞれの色を感じやすいです。オンライン上で見る展覧会は別物だと思っていて、それぞれの良さと役割があると思います。
展覧会の情報は、ほとんど98%ぐらいSNSを通して知ることが多いですが、作品をオンラインで買うということはやったことがないですね。わたしは服すらネットで買ったことがないので、現物を見ないと買えないタチなだけかと思います。逆にネットで買い物をよくする人にとっては服を買うことも絵を買うことも近い感覚なのかも。絵を買うことが気軽になるのは良いな、と思います。
どんなアート作品をこれから所有したいと思っていますか?
あの作家さんの絵が欲しいなとか、そういうことはよくSNSを見ながら思ったりします。インスタグラムは海外の人の絵も見つけやすいのでよく見ます。Twitter上には、絵のマニアみたいな方がたくさんいるので、その方の いいね やリツイートによって知らなかった作家さんや、展覧会の情報を得たりもします。
具体的に作品を所有してみたいと思っている人は、たくさんいらっしゃるんですけど、今パッと思い浮かんだのは狩野岳朗さんの絵です。吉村宗浩さんのペインティング作品も。あとマメイケダ氏の風景画も欲しいです。油絵と立体に惹かれる傾向があります。
でも、もし自分がZOZOの前澤さんだったら横山裕一さんの絵とできればエルスワース・ケリーの絵も買いたいです。いつか広い家に住んで、でっかい作品を飾るのも夢ですね。
あなたにとって「Owned Art(所有しているアート作品)」は、どんな存在ですか?
バブル期に良い車や良い時計を持つことがステータスだったら自分にとって持っている作品がそれかもしれません。作品をひとつ買うと小さな自信が積み重なっていくような感じがします。金銭的な豊かさや地位のアピールでなくて、今なにを選ぶか、なににお金を使うかは美意識をはかるものさしになっているという感じがします。
アート作品をこれから購入する方に向けてアドバイスなどありますか?
まずは思い切って買ってみたらいいと思います。(お財布と相談しながら)それが安かろうが高かろうが人がつくった一点ものを自分だけが所有しているということが誇らしく思えて、なんか自信が湧いてきます。
ミヤザキ
イラストレーター・アーティスト
1992年生まれ。島根県出身。シンプルな線画が得意です。動物を描くのが好き。長く愛されるような絵を描きたいです。
Instagram:@miyazaki1992