アート作品を「所有したい」と最初に思ったのは、いつ頃ですか?
作品を「所有したい」と思うようになった時期は、はっきりとは覚えていませんが、美術予備校に通っていた頃から、当時好きだったイラストレーターのサイン会に出かけたりしていたので、もしその人の絵が当時買えたとするなら、欲しいと思ったかもしれません。実際に、所有したいと思った作品を手にすることになったのは、大学一回生(たしか、、)の時です。先輩の卒業制作の作品がすごく良くて、購入したいと伝えると、有り難いことに譲って頂けました。
初めて購入した作品は、丸岡和吾さんの髑髏の植木鉢で、購入した場所は pulpです。丸岡さんの作品に惹かれたのは、元々骨の造形に興味があったということもありますが、そもそも髑髏ってかっこいいと思っています。髑髏に惹かれるのってなんなんでしょうか。。そういった理由で、丸岡さんの作品が欲しいなと思っていたところ、pulp で展示があったという風に記憶しています。
アート作品を購入することに至った決め手はありますか?
作品によって決め手は異なりますが、半端な気持ちでは買えないなと考えていて、この作品が自分の手元に来ることは正しいのか?(正しいも悪いもないのですが)など色々考えた上で、やっぱり欲しいというものを購入しています。具体的に話すと、自身で絵を描いているということも関係しているのかもしれませんが、マルチプルやエディション作品など以外は、アート作品というのは基本的には、その作品そのものしかない、という物が多いので(厳密にはエディション作品もそれぞれしか存在しないですが)、いろんな人がその作品を所有する可能性がある中で、自分の手元に来ることが作品にとって幸せなのか?自分がその作品を他の人以上に愛せるのか?ということを考えています。すこし大げさかもしれませんが。
アート作品に限らず、服だったりインテリアも、そんな感覚で選びたいなと思っていますが、また少し違う気もしますし、一概には言えないとも思います。
所有しているアート作品はどのように楽しんでいますか?
いま住んでいる、実家の自室には壁がないので、本棚に立てかけたりしています。作品を購入し始めた当初から、飾りたいというよりも持っておきたいという気持ちが強かったので、飾らずに保管してあるものがほとんどだったのですが、自室を模様替えした時に、飾るスペースが少し生まれたので、いくつか飾るようになりました。全ての作品を飾ることは出来ていなくて、保管してあるものも時々出してきて見ています。今回撮影できていないものも多いですが、全て大好きな作品です。
オンライン上で展示や作品を見ることと、実際に生で見ることの違いはありますか?
まだ、オンライン上での展示をあまり多くは見ることが出来ていないのですが、オンラインならではの表現をしている展示を、見たいなと思っています。購入の対象として見ることを考えると、質感や大きさ、対峙した時の印象など、生で見ないと分からないことも多く、難しいと感じています。SNS上の写真にはなりますが、生より画像の方が良かったということもあったりするので、個人的には気になったものは、生で見たいと思っています。
どんなアート作品をこれから所有したいと思っていますか?
いつか作品を所有したいなと思っている作家さんは何人もいて、例えば吉村宗浩さん、赤津ミワコさん、吉原航平さん、近藤さくらさん、平澤一平さん、寺田克也さん、永井博さん、横山裕一さん、だったり挙げだすとキリがありません。また、所有することなんて出来ないのかと思いますが、David Hockney やEllsworth Kelly、Blinky Palermo、Alex Katz などの作品を身近に置いておけたら夢のようだとも思います。原画などではないですが、Ed Ruscha 制作の本のシリーズもいつか欲しいものの一つです。具体的なものを挙げるとすると、小田島等さんのペインティングや、中村譲二さんの過去に描かれていた黒いシリーズもいつか、、と思っています。また、絵の販売などされていないかと思いますが、漫画家の斎藤潤一郎さんの絵も凄く好きです。
あなたにとって「Owned Art(所有しているアート作品)」は、どんな存在ですか?
特別、意識して生活していませんが、身近にあっても、ふとした時に異質な感じがします。(生活空間に馴染んでいるように見えて、すごく独立した存在だと感じます。)また、知らないうちに影響をもらっているようにも思います。
アート作品をこれから購入する方に向けてアドバイスなどありますか?
買っておけば良かったという作品がいくつもあるので、思い切りも大切ではないでしょうか(自戒を込めて)。また、アート作品に限らず、好きなものが身近にある生活は楽しいと思います。
南田真吾(イラストレーター・画家)
1993年大阪生。2016年京都造形芸術大学卒業。形式上の色や形のバランス、構図に重きを置いた絵を描く。主な活動は各種媒体でのイラストレーション制作や、国内外での作品展示。
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